----------------------------------------------------------------------
●コラム【とかちの窓から】 第50回
『保険適応となったニキビ治療薬アダパレン(3)』
----------------------------------------------------------------------
こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。 まず最初にご連絡です。ニキビの外用治療剤『アダパレン:商品名 ディフェリン ゲル』(以下 DG)の発売が早まりました。 11月以降の発売が予定されていたようですが、10月21日(火)に前倒しで発売となりました。このメルマガが配信される頃には、皮膚科でも処方可能となります。 但し、実際に処方するかは、個々の皮膚科の先生の判断によりますので、注意が必要です。 (診療の妨げにならない程度に、節度を持って、電話などで問い合わせることは大丈夫と思います。) とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。 (思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)
これは私が皮膚科診療を18年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。 このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。 (バックナンバーは http://www.bihaku-labo.com/columnframe.htm をご覧下さい。) このメルマガではこれまで2回に渡って、保険適用となり、一般の皮膚科でも処方可能となったニキビの外用治療剤『アダパレン:商品名 ディフェリン ゲル』(以下 DG)について、お話させていただきました。 初回は、薬の特長や効果を発揮するメカニズムに関して、前回は、実際の使用方法等について解説させていただきました。 今回は、更に情報収集に努め、価格や実際の使用感、副作用対策等について解説して〆とさせていただきます。 (量・価格・保存法について) まず、価格です。1本15g 入りで、約1、770円 です。診察料等も含め、DG1本のみ処方されたとして、2千円位でおつりがくる位の自己負担ではないかと思います。(院内処方や院外処方の別により負担が変わります。) 1gで顔全体に塗ることができる量を設定しているとのことですので、1本で2週間は楽にもつと思います。開封後は、常温保存で少なくとも数ヶ月は品質が維持できる様です。 (使用感・使用上の注意について) 手元にサンプルが届きました。数日間、試しに顔に塗ってみました。使用感は、ゲルの伸びが良く、私の場合は特に問題ありませんでした。でも塗り続けるに従って、少しカサカサしてきている様です。 実際に塗るのは就寝前ですが、塗り忘れることがあると思います。 『前日に塗り忘れた場合でも、用法・用量どおり就寝前に使用して下さい。1日に2回塗ったり、1回に2回分を塗ったりしないで下さい。』 これは大切です。 指で塗ると指が乾燥しますので、『塗った後は必ず手を洗って下さい。』 綿棒で塗るというのがいいかもしれませんね。 これからは、冬の乾燥時期となりますので、特に、敏感肌の方や乾燥肌の方は、注意が必要と思われます。 (乾燥対策等について) 乾燥症状は必発と言えますが、乾燥対策を以下に述べます。乾燥などを防ぐためには、保湿力の高い化粧品などの使用が不可欠です。 使用法としては、 『化粧水や乳液などを使用して肌になじませた後、DGを塗って下さい。』 当研究所の製品の場合ですと、ローション→美容液→DGの順番となります。メーカーの説明では、乾燥症状がでても3ヶ月塗り続けることが重要とのことです。 『3ヶ月使用を継続するためには、乾燥対策が最大のカギ』と言っても過言ではありません。 それから、『DGを塗った後、メイクアップをする場合、ある程度時間を置いた方が良いのか?』という疑問が出てきます。 それについては、 『DGは5分後に毛包に分布し、2時間貯留します。どうしてもメイク前に塗る場合は、できれば、DGを塗った後、5分程なじませて(=毛包に浸透させて)から、メイクする方法が良い。』 とのことです。 以上、問題となりそうな所をピックアップしてみました。 今回のポイントは以下の通りです。
保険適用となったニキビ治療薬『アダパレン』、商品名『ディフェリンゲル0.1%』(DG)について、3回に渡って解説しました。 発売が前倒しになるなど、ドタバタしてしまいましたが、この薬の登場は、ニキビの保険診療にとっては大きな朗報です。 このコラムが、これからDGを使用になられるニキビ患者さんにとり、良き指針となれば幸いです。 次回は、第47回のコラムでとり上げた、『年齢不詳化プロジェクト』のその後について、お話させていただく予定です。 それでは。 おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム) (昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。平成14年とかち美白研究所開所。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士) |