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●コラム【とかちの窓から】 第72回
『ニキビとサプリメント(特にビタミンB2、B6)』
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こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。 点と線がつながる、永年知らなかったことや疑問に思っていたことが、一気に氷解するような経験はありませんか? 原田泳幸さん(61歳)は、以前アップルの日本法人社長さんで、現在は日本マクドナルドホールディングス会長さんです。昨年、外食産業の苦戦が続く中、上半期過去最高の売上高を達成し、有能な経営者としてあらためて評価されています。 昔からアップル(マック)のパソコンを使っている私にとっては、ちょっと思い入れのある社長さんです。 谷村有美さん(42歳)は、数多くの作品を発表しているシンガーソングライターで、「クリスタルボイス」と形容される歌声が特徴です。 テレビの司会、特にラジオのDJでの飾らないおしゃべりが特徴で、雑誌にエッセイを連載したり、エッセイ本を出版するなど多方面での活動を行っています。 もともと早起きだった私は、谷村さんの出演していた平日早朝の情報番組ドーナツ6(TBS系:1987年10月5日から1989年3月31日まで放送)を学生時代に楽しみに見ていました。もう20年以上も前のことです。 CDも何枚か持っていて、BGM代わりによく聴いていました。ただ最近はあまりみかけず、引退したのかなと思っていました。 つい先日、雑誌『週刊文春8月5日号』を何気なく読んでいると、衝撃の事実が。 何と!お二人は2002年にご結婚されていたとか。マクドナルド躍進の影に『谷村有美』あり。世の中って面白いですね。 ちょっと時間をあけて、視点を変えると見えてくることってありますね。焦らなくても、大丈夫。ふとしたきっかけで、ニキビ改善のヒントが発見できるかも知れません。 ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。 このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。 (思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)
これは私が皮膚科診療を20年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。 (バックナンバーは http://www.bihaku-labo.com/columnframe.htm をご覧下さい。) 前回は、『果物』の賢い、オイシイ摂り方を取り上げ、ニキビ改善につなげる方法を考えてみました。 今回は、『サプリメント』の選び方、特に、ニキビ改善に有効とされるビタミンB2、B6を取り上げてみました。 最初に、『医薬品』と『サプリメント』の違いについて考えましょう。 『医薬品』は、安全性、効用について膨大な検査を行い、厚生労働省の認可を受けています。そのため、特定の症状や効果・効能、用法・容量を明記できます。 『サプリメント』は食品なので効果や飲み方を明記できません。しかし、全成分表示が義務づけられているので、主原料、吸収促進成分や添加物まで表示を見ればすべてわかるのが特長です。 同じ栄養素でもいろいろな商品がありますが、『サプリメント』を選ぶ上での注意点として以下があげられます。 1)パッケージの記載で、まず成分とその含有量を確認します。 2)原材料は基本的に含有量の多い順に表示されているので、自分が摂りたい成分が先頭に来ているかにも注目します。 3)電話相談などの問い合わせ先が明記されているかどうかも大切です。 ニキビに必要なサプリメントには、どのようなものが考えられるでしょう? まず、ビタミンB2、B6を含むサプリメントです。皮膚ビタミンと言われ、ニキビ肌にはもってこいのサプリメントです。 ビタミンB2、B6 は健康な皮膚・髪・爪をつくり、細胞の再生やエネルギーの代謝を促進する栄養素です。 ビタミンB2は、食事で摂取した脂質が体内で代謝されエネルギー源となるために重要です。 ビタミンB2不足になると、脂質の代謝がうまくいかなくなります。皮膚では、皮脂分泌のコントロールに異常をきたして、皮膚表面を弱酸性に保つ力が低下します。そのため、細菌に対する抵抗力も低下してにきびができやすくなります。 ビタミンB6 のお話しの前に、タンパク質とアミノ酸の話を少し。 体が必要としているタンパク質の合成の際、必要なアミノ酸が足りなかった時、別のアミノ酸をピンチヒッターとしてつかえるように作り替えるすごい仕組みを人体は持っています。 アミノ酸の変換に不可欠である補酵素のはたらきを助けるのがビタミンB6 です。 古い角質(タンパク質)を取り除き、毛穴の目詰まりを解消することなどによって、皮膚が正常な機能が発揮できるのは、皮膚が2週間かけてターンオーバーを繰り返すことによります。 ビタミンB6が不足すると、タンパク質が十分に再合成できなくなり、皮膚の正常なターンオーバーに支障が出てしまいます。 また、興奮状態にある神経を落ち着かせるようにするはたらきをもつ神経伝達物質や皮膚バリアーを維持する免疫力(免疫グロブリン)の合成にも、ビタミンB6 が必要です。 神経が高ぶり、寝付きが悪くなって快適な睡眠が得られなければ、ニキビは当然できやすくなったり、悪化します。 ビタミンB2、B6の1日必要量を調べてみました。ビタミンB2の1日の摂取必要量は、成人女性1.2mg(成人男性1.6mg)です。 成人女性例で、これを1種類の食物だけで摂ろうとすると、卵(300g)、カレイ(350g)、納豆(250g)、豚レバー(34g)、アーモンド(130g)、ヨーグルト(800g) となるそうです。 これはちょっと無理ですね。 でも2003年の国民健康・栄養調査による摂取量(20〜59歳平均)では、成人女性1.93mg(成人男性1.47mg)とクリアされているようです。 過剰摂取は心配ないとされているようですが、1日30mgで吐気などの副作用との報告があります。 ビタミンB6の1日の摂取必要量は、成人女性1.2mg(成人男性1.4mg)です。成人女性例で、これを1種類の食物だけで摂ろうとすると、マグロ:120g、バナナ:320g、鶏のささ身:200g、さつまいも:420g、カツオ:160g となるそうです。 これもちょっと難しいですね。 でも2003年の国民健康・栄養調査による摂取量(20〜59歳平均)では、成人女性1.85mg(成人男性1.69mg)とクリアされているようです。 男女とも1日80〜100mgまでなら安心ですが、過剰摂取だと神経症、肝機能障害、腹部膨満感などが認められるとの報告があります。(上限が成人男性で60mgとする報告もあります) ビタミンB2、B6に限って考えると、『普段の食事』が第一ですね。普段の食事がきちんとできていれば、十分摂取できます。 食事で摂取できないようならば、『サプリメント』の出番です。 また、『サプリメント』を利用するにしても、B2やB6だけよりも、マルチビタミンのようなものを、『1日の必要量』にこだわらず、適量〜少量でも摂取する方法が良いのではないかと思います。何かだけ多いというのは、体の摂理に反すると思います。 ビタミンB2、B6を他のビタミンと一緒に、バランス良く賢く補給し、ニキビ改善につなげましょう。 今回のポイントは以下の通りです。
先日、経済ニュースを見ていたら、原田泳幸さんが会社の決算報告の会見をしていました。業績もまずまずとのこと。さすがですね。 ネットで経歴等を検索してみると、原田さんはなかなかの苦労人ですね。結婚が話題になったこともあり、本当に必死にお仕事をされているのでしょう。 一方、谷村さんも、これまた大変仕事のできる方のようで、ご主人の仕事の資料を徹夜で作成されたり、子育てのかたわら音楽活動も両立されるなど、すごいですね。 マクドナルド躍進の影に『谷村有美』ありと冒頭に書きましたが、19歳の年の差が、いい意味での緊張感を生み、お二人の生活に大きなプラス効果を生んでいるのですね。 振り返ってみれば、谷村さんの歌声は、私の『サプリメント』でした。キャビネットの奥からCDを取り出して、聴き直してみました。学生時代から医師となってからもしばらくの間、先の見えない人生をずいぶんと助けてもらったような気がします。 お二人ともこれからもお幸せに。 次回は『ニキビとサプリメント』について、もう少し深く、考えてみたいと思います。 おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム) (昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。平成14年とかち美白研究所開所。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士) |