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●コラム【とかちの窓から】 第80回
『睡眠の新常識 〜起床編〜
こんな時だから 体内リズムを守って早寝早起きを』
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こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。 ここ1ヶ月ばかり、日常生活が激変しました。 通常の業務は平常通り行い、所々見直しが必要になるものの、大きな滞りはありません。 しかし、様々な情報収集が必要となり、時間を取られてしまいます。生活も夜型にシフトしがちです。前向きな気持ちも薄れがちに。 これではいけませんね。 そこで、私は決心しました。『私は、普段通り、早寝早起きすることに決めました!』 ちょうどコラムでも、早起きについて取り上げることになっていました。 当地はもう朝4時半には陽が昇り、春の到来を告げる、『ふきのとう』が土から顔を出しています。 新たな生活がスタートしている4月。気分も新たに、ニキビ治療を進めるチャンスです。今まで試みていた治療も新たな気持ちで取り組みやすくなります。 ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。 このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。 (思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)
これは私が皮膚科診療を20年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。 このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。 (バックナンバーは http://www.bihaku-labo.com/columnframe.htm をご覧下さい。) 前々回は、規則正しい生活を送ってニキビ改善につなげるために必要な、『睡眠』について、最新の睡眠の新常識を踏まえた上で、私が実践・工夫している『入眠法』の具体例について、お話しさせていただきました。 今回は、『体内時計による生体リズムを守って朝すっきり起きる方法』についてお話しさせていただきます。 (実際に私が行っている実践法は次回でお話しさせていただきます。) 朝すっきり起きるコツとはなんでしょうか? それは、朝、太陽の光にうまくあたり、以下にお話しする『体内時計』にリセットのスイッチを入れ、少しずつ目覚める環境をつくることです。 『体内時計』とはどんなものでしょうか? 地球に住む生物はすべて、一日のリズムを刻む『体内時計』を持っています。夜になると眠くなり、朝になると目が覚める。昼には体温や血圧が上がり、夜には下がる。こうした規則正しいリズムをつくる役割を果たしているのが、『体内時計』です。 『体内時計』の一日は、多くの人が24時間より少し長い24.5〜25時間で、この生体リズムを『サーカディアンリズム(概日リズム)』と呼びます。 『体内時計』の『親時計』は脳の視床下部の視交叉上核にあります。『親時計』は、自律神経やホルモンを連絡路として、心臓や皮膚など全身の細胞にある『子時計』に指令を出して、『サーカディアンリズム』を刻んでいます。 21世紀に入り、『体内時計』の乱れは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や骨粗しょう症、癌などの病気につながることが世界中の研究で明らかになってきました。 皮膚の細胞にも『体内時計』の『子時計』があります。早寝早起きを習慣化して、『体内時計』と『皮膚の子時計』のリズムにうまく従うことが、『ニキビ改善』につながると思われます。 なるほど、夜勤やシフト勤務があるニキビ患者さんが、ニキビ改善に時間がかかるというのは納得いきます。 以下に、『生体リズムを守るための7ヶ条と実践のコツ』を示します。(大塚邦明著『100歳を可能にする時間医学』を改変) これは、私が資料をいろいろ集めていて、最重要と考えたものです。 [1]朝の太陽を30分浴びましょう 体内時計と地球の自転周期のズレをリセットするのに最も有効です。散歩をすると体を温める相乗効果が得られます。 [2]朝食は毎朝同じ時間にしましょう 一定時間に取ることで、『腹時計』のリズムが整います。よくかむことでホルモンがよく分泌されます。 [3]昼間も光を浴びましょう 昼間の太陽は、睡眠と覚醒のリズムをつかさどるホルモン『メラトニン』の分泌量を増やします。社会的な接触を持つことも大切です。 [4]早起き早寝を習慣づけましょう 寝る時間が遅くなっても起床時間は早朝に固定させましょう。平日の睡眠不足はなるべくためないようにしましょう。 [5]朝食後はグレープフルーツをどうぞ 香りが交感神経を刺激し、体を温かくします。 [6]時間を確認しましょう 『今何時か』時計を確かめると、体内時計の分単位の微調整に役立ちます。 [7]夜は暗く静かに休みましょう 就寝時は厚手のカーテンで騒音を避け、寝室を暗くします。 これを実践することで、あなたも早寝早起き名人になれます。 早寝早起きが習慣になると『体内時計』と『皮膚の子時計』のリズムがかみ合って、皮膚のターンオーバーも安定します。『ニキビ改善』につながること間違いなしです。 夜勤やシフト勤務があるニキビでお悩みの方は、シフトをうまく読んで、まず睡眠時間を多めに取りましょう。早めに床に就くか、朝寝坊も2時間以内なら、体内時計への影響を最小限に抑えられるそうです。 今回のポイントは以下の通りです。
仕事量の増大を契機として、昨年11月くらいから、私の生活リズムは乱れていました。今回のコラムを書くにあたって、生活も早寝早起きに戻しました。 朝早く昇ってくる太陽の力は本当に偉大だなと思います。つい手を合わせてしまうこともあります。 『明けない夜はない』この言葉が大変心に響く今日この頃です。 次回は、私が工夫している起床法の具体例について、お話しさせていただきます。 それでは。 おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム) (昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。平成14年とかち美白研究所開所。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士) |